【知道中国 2691回】                      二四・五・廿

――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習357)

「前言」はさらに続ける。

「長年に亘る諄々たる教導に加え、長江で悠然と泳ぎを愉しみ冬の邕江を泳ぐという毛主席の偉大なる実践に鼓舞されて、広範なる労働者・兵士・農民大衆は革命のために体育鍛錬を進め、また多くの人民が長期に亘って冷水浴、空気浴、日光浴を励行し、心身を鍛錬し、健康を増進させ」てきた。

それというのも、「社会主義の革命と建設に積極的に貢献するためには、たとえば厳寒に渡河し、敵を殺して勝利を勝ち取って祖国防衛に邁進し、燃え滾る溶鉱炉を前に炎熱を恐れず生産任務を完遂し、祖国を建設しうるような頑健で暑さ寒さを恐れない健全な肉体を、我われは必要とするからだ」そうだ。

以上の観点に立って、この本は冷水浴、空気浴、日光浴に加え、熱水浴、海水浴、泉水浴、熱冷浴など各種水浴の方法、効能、注意点などをイラスト入りで詳細に解説している。

たとえば全身の神経系統だけでなく、呼吸器官や消化器官の功能を高める冷水浴に関しては、「神経系統は人体の一切を司る司令部であり、常に冷水で身体を刺激することで条件反射機能を活性化することが可能であり、外部から寒冷という刺激を受けることで大脳は昂揚し、直ちに全身の各器官を統御する。各神経系統は熱を発散するなどの活動を活発化することで体の抵抗力を高め、全身のすみずみまで鍛錬され頑健さを加える」ことができるらしい。

冷水浴を実行するに当たっては、水温が低ければ低いほど冷水と接触する皮膚面積は広くなり、実施時間が長いほど強烈な反応がえられる。冷水浴には顔面浴、足浴、摩擦浴、沐浴、侵浴、天然水浴、寒中水泳などの種類がある。

まあ、どれをとっても寒そうだが、厳寒での水泳には「強靭な意志がないと水に入れない。偉大なる毛主席は『決心さえすれば断じて冷たくない。決意を固めなかったら20数度でも冷たいのだ』と指摘しておられるが、水に入ることは思想的視点に立てば闘争でもある。水に入ってじっとして短い呼吸を繰り返すことで、大きな決心と勇気が湧いてくるのである」。かくして「革命を掴み、生産を高め、工作を促し、戦争に備える」ために、全国を挙って身体を鍛錬すべし、と結論づけた。

「革命を掴み、生産を高め、工作を促し、戦争に備える」ために冷水浴、空気浴、日光浴、熱水浴、海水浴、泉水浴、熱冷浴の励行が求められるわけだから、まさかとは思うが、そのうちに習近平政権も国民に向かって各種水浴を厳命するかもしれない。

1977年8月に入ると、第11回中国共産党全国大会が開催され、華国鋒が「政治報告」を行ない、文革派四人組粉砕を以て11年に及んだ文革の終結を宣言した。さらに「我が党と四人組反党集団党の闘争は我が党の歴史上では11回目の重大な路線闘争である」と見なし、「プロレタリア独裁下の継続革命と党の基本路線の堅持」を主張している。19日になると、華国鋒が主席に、葉剣英、鄧小平、李先念、汪東興が副主席に選出された。

29日には毛主席記念堂が落成し、毛沢東の遺体を納める「水晶棺」が設置されている。

8月出版分で手許に残るのは『開天辟地大事変 ――瞻仰“一大”会址』(劉元璋・陳雪良 上海人民出版社)と『緬懐周総理対文物考古工作的親切関懐』(国家文物管理局理論組 文物出版社)の2冊のみ。

前書は1921年に上海のフランス租界で開催された第1回共産党全国大会に関する史跡を紹介しながら、「毛沢東の功績を称え、四人組の蛮行を糾弾し、華国鋒を首とする党中央の指導によるプロレタリア独裁下で20世紀内に社会主義強国を建設し、人類に対し偉大な貢献をなし、最終的に共産主義を実現すべく奮闘しよう!」と呼び掛ける。《QED》