【知道中国 2664回】 二四・三・念七
――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習330)
当時の共産党の基本姿勢を知る上では『政治経済学問題解答』に収められた全ての問題と解答を検討したいところだが、それは力仕事が過ぎる。そこで、ここでは試しに冒頭に置かれた問題「プロレタリア独裁の任務はなんなのか?」をみておくことに止めたい。
回答は以下の4つに分かれ詳細に解説されている。
1)「プロレタリア独裁の主要な任務」は、「国家の内部の反動階級、社会主義革命に反抗する搾取者、社会主義建設の破壊者を押さえつけ、党内外に新たに生まれたブルジョワ階級、ことに党内の走資派と戦うと共に、国家にとって外部の敵が進める転覆活動と侵略への策動を防ぐことである」
2)「プロレタリア階級独裁の重要な任務」は、「プロレタリア階級の思想によって教育を施し、小生産者と他の労働大衆を改造し、彼らをブルジョワ階級の影響から離脱させ、確実に社会主義の道を歩ませることである」
3)「プロレタリア階級独裁のもう1つの重要な任務」は、「現在もなお存在している一部のブルジョワ階級の法権に制限を加え、資本主義の一切の残滓と痕跡を徐々に確実にキレイさっぱりと消し去り、ブルジョワ階級が存在不可能で、再び息を吹き返すことが不可能な条件を造り上げることである」
4)「プロレタリア階級独裁の基本任務の1つ」は、「社会主義経済の発展に努めることである」
以上が「プロレタリア階級独裁の主要な任務」であり、それらは全て「階級を徹底して消滅させ、共産主義という光り輝く広大な目標を達成させるためである」
冒頭の「プロレタリア独裁の任務とはなんなのか?」にザッと目を通しただけでも『政治経済学問題解答』の主張の全体像が類推できるようにも思うが、最近の習近平政権が打ち出す内外政策の根底を流れる思想は、この辺りに淵源を求めることができるのではなかろうか。やはり“三つ子の魂・・・”になりそうだ。
1976年7月に入ると、6日に朱徳(1886年~)が人生を終えた。28日には北京の東郊に位置する唐山で大地震が発生している。前者は権力最上層における革命第1世代の退場を印象づけるものであり、毛沢東の人生も終焉に近づきつつあることを内外に知らしめた。
一方、唐山大地震は四人組が猪突猛進(妄信!)してきたイデオロギー闘争も、やはり自然災害の前には無力・無意味であることを無慈悲な形で突きつけるのであった。
だが、さすがに四人組である。空気を読まないことにかけては天下一品だった。
地震発生後、姚文元は「地震実為新地兆」と題する一文を記し、「厳かに宣言する。地震は旧い世界をぶち壊し、新しい世界の誕生を告げる予兆だ」と説いた。これに相乗りするかのように、王洪文名義で「指導層問題の解決」と題する計画が提出されたとも伝わる。
とはいうものの、さすがの姚文元も国営通信社の新華社から送られてきた河南省党委員会幹部に関する報告には驚きを隠せなかったようだ。そこに記された毛沢東死後に起こるであろう党上層内の権力闘争の予測に、彼は震えが止まらなかった、とか。
この月出版分で現在も手許に残るのは『柳宗元《非〈国語〉》訳注(選)』(吉林師範大学歴史系・長春市第一光学儀器廠工人理論組 人民出版社)、『法家著作選読 劉知幾著作選注』(《劉知幾著作選》編輯組編 北京人民出版社)、『方蠟起義』(上海冶金第二機修廠・安徽師範大学歴史系・上海師範大学歴史系 上海人民出版社)、『天津人民反帝闘争史話 第二次鴉片戦争在天津』(天津市歴史研究所・天津史話編者組 天津人民出版社)、『青年自学叢書 簡明中国文学史 上冊』(上海師範大学中文系《簡明中国文学史》編写組 上海人民出版社)、『物体形状漫談』(李実編著 上海人民出版社)の6冊だ。《QED》