【知道中国 2652回】                      二四・三・初三

――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習318)

④社会主義社会の主要矛盾であるプロレタリアとブルジョワの階級対立において、修正主義が最も危険である。毛主席の革命路線を断固として守り抜き、文革の成果を防衛し、発展させ、プロレタリア独裁を強固なものにすべきだ。

――こう見ると、北京大学で反四人組の雰囲気が高まりだす一方で、毛沢東思想原理主義路線が劣勢に立ち、四人組が浮き足立ってきた気配が感じられる。

四人組の焦りが浮かび上がってくるのが、梁効を筆頭とする四人組配下の筆杵子(イデオローグ)による評論集『以階級闘争為綱継続搞好教育革命』(人民出版社)である。

 先ず梁効は「教育革命与無産階級専制(教育革命とプロレタリア階級独裁)」で、①劉少奇ら毛沢東に反対した実権派が強固に推し進めた旧教育制度は、ブルジョワ階級が人民を支配するための道具を作りだそうとするものである。②学校はプロレタリア階級独裁を実現するための人材を作る場に改造しなければならない。③教育はプロレタリアの政治に服務すると同時に、生産・労働を結びつけなければならない。④ゆえに共産党は教育革命をより強固に導く必要がある――と主張する。

以上が基調の『以階級闘争為綱継続搞好教育革命』所収の20本の評論を総括すると、

一、修正主義は依然として当面の主要な危険だということを深刻に認識し、労働者階級による学校指導を不断に強めるべきだ。

二、階級闘争の科目を主とし、修正主義に反対する闘争においてマルクス主義の真偽を弁別する能力を高めるよう教育すべきだ。

三、知識分子の世界観改造は急務であり、教師の持つ積極的機能を十分に活用せよ。

四、広範な労働者・農民・兵士に教育機会を与えるべく、大学の門戸開放は堅持せよ。 

五、働きつつ学ぶ制度を実行し、頭脳労働を肉体労働の結合を目指せ。

六、生産と科学研究を結合した教育を実施し、広く人材を養成せよ。

七、農村に小規模な学校を建設し、社会主義の覚悟も持つ文化的新型農民を養成せよ。

八、実情に応じ、多様な形式の学校を創設せよ。

九、教育者は教育を施し、教育の中で自らを教育せよ。

十、階級闘争と路線闘争において堅い覚悟を持ち、人民と緊密に結びつき、団結して戦う協力で質の高い指導幹部を養成せよ。

かくして「勝利は永遠に我ら戦闘的プロレタリア階級のもの」になると揚言する。

それにしても「教育革命」を実現するための具体的方策が明確に示されていない点が不思議といえば不思議だが、漢語(国語)教育に限定するなら、あるいは『中小学語文教学改革経験選 漢語拼音基本式教学』(中国文字改革委員会推広組織 人民教育出版社)が、その疑問の一端を解いてくれるかもしれない。

北は黒龍江や遼寧省から始まって山西省、湖南省、河南省、広東省に加え北京や上海の都市部の小中学校に至る広範囲において展開された「漢語拼音基本式教学」の成果が詳細に報告されているのだが、それはいったい、どのような教学方式なのか。多くの報告から類推するに、漢字は難しいから、「拼音」と呼ぶローマ字表記の一種のフリガナを使って文章を記そうという方式らしい。

その辺の細かい仕組みは割愛するが、語学教育であっても行き着く先は「学び手のマルクス・レーニン主義の基本観点理解を大いに手助けし、思想転換の目的を達成する」「理論と実際を結びつけてマルクス・レーニン主義と毛沢東思想を学ぶことで、〔中略〕プロレタリア階級独裁を一層強固にするために漢語拼音を学び、より高次の問題解決能力を身につける」となる。これが習近平周辺の幼き日々の学校教育の一端なのだ。《QED》