【知道中国 2602回】 二三・一一・念二
――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習268)
「中国では成熟した者は保守主義者に変る」と考える林語堂は、共産党が蔣介石軍の追撃から逃げ回り、命からがら延安に落ち延びた1935年、早くも次のように予言していた。
「大多数の中国人も自覚的信念からではなく、一種の民族的本能から依然として古いしきたりを墨守している。中華民族の伝統の力とはかくも強いものであり、中国人の基本的な生活方式というものは永遠に存在し続けるように思える。たとえ共産主義政権が支配するような大激変が起ころうとも、社会的、没個性、厳格といった外観を持つ共産主義が古い伝統を打ち砕くというよりは、むしろ個性、寛容、中庸、常識といった古い伝統が共産主義を粉砕し、その内実を骨抜きにし共産主義と見分けのつかないほどまでに変容させてしまうことであろう。そうなることは間違いない」
「共産党員先進性」を表現すべく伝統的な『三字経』に倣うわけだから、結局は共産党も「一種の民族的本能から依然として古いしきたりを墨守している」のだろう。
1974年1月から9月にかけ、中華書局は「活頁文選」と称し、法家思想に関する古今の文献の重要部分を、簡便な形で廉価で出版している。なお25と27を筆者は架蔵せず。
1:「封建論」 柳宗元
2:「五蠹」 韓非
3:「在現在中国的孔夫子」 魯迅
4:「天論」 荀況
5:「更法」 『商君書』
6:「問田」 韓非
7:「狂人日記」 魯迅
8:「秦政記」 章炳麟
9:「秦献記」 章炳麟
10:「論秦始皇廃分封立郡県」 王夫子/「王船山是怎様評価秦始皇帝」周一良
11:「葫芦僧判断葫芦案」 曹雪芹
12:「不知肉味和不知水味」 魯迅
13:「触讋説趙太后」 『戦国策』(趙策四)
14:「問孔」 王充
15:「『論語』批注(選刊)」 北京大学哲学系工農兵学員
16:「『論語』批注(選刊之二)」 北京大学哲学系工農兵学員
17:「礼」 魯迅
18:「賛劉偕」 李贄/「題孔子像于芝仏院」 李贄
19:「野獣訓練法」 魯迅
20:「烏荘頭送租」 曹雪芹
21:「戦国時期法家代表――荀況論述的浅注」 李文波
22:「王安石詩文注」 北京大学中文系漢語専業七二級工農兵学員
23:「曹操令文選訳」
24:「『孟子』批注(選刊)」 北京大学中文系古典文献専業師生
26:「問塞」 『商君書』
28:「刺孟(節選)」 王充
29:「法家思想的主要奠基者――商鞅論述浅注」 上海第五印染廠青年工人(孫維槐、羅天生)・盧湾区工人業余教師学校(羅義俊)
たしかに「中華民族の伝統の力とはかくも強い」。呆れ返るほどに空恐ろしい。《QED》