【知道中国 2488回】                      二三・二・十

――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習154)

「金色昔日」は、主人公の謝宝生が4歳の時のオリンピックの記憶から始まる。やがて「監視と管理が厳しかった高校生活」が終わり、大学生活へと進むのだが、その時、ロシア、ウクライナなどの国々では経済が崩壊し、誰もが想像すらできないことが起きてしまう。「ゴルバチョフという指導者が周辺十数カ国をまとめて」、「社会主義制度の実現を旗印に」してソ連を建国し、「ソ連の策動によって東欧ではあいついで革命が起きた」のだ。

「中国では鄧小平の計画経済が失敗し、経済は悪化の一途をたどった。人々は政府への不満をつのらせた。国家機構は腐敗し、官僚制度にも中央集権制度にも弊害が山積」するばかり。

豊かだった時代を知る大学生は「悪いのは国家だ。政治体制を改革し、真の民主主義を実施しよう。無能な指導者を引きずり下ろせ!」と天安門広場に結集する。だが広場は戒厳部隊に制圧され、最後まで抵抗を煽っていた民主派指導者は早々とトンズラしていた。

見せかけの経済は国内のインフラを空洞化させ、「貧富の差が拡大し、政府への怨嗟の声が高ま」る中、人々が「中国の新しい希望」と口にする毛沢東と名乗る正体不明の男が登場するのであった。

かくて中国は全土で、毛沢東の主唱する「いわゆる無産階級文化大革命」が始まった。

文革の荒波は全国を荒廃させると同じように、主人公の家庭をもズタズタに破壊する。

10年続いた文革が終わるや、毛沢東に代わって劉少奇が政治の実権を握り、経済も徐々に回復に向かうのだが、核実験を行ったことで、中国はアメリカとソ連からの経済制裁を受け、困窮するばかり。

全土を覆った「数年におよんだ飢餓はようやく終わ」りを迎え、外交関係を修復した「ソ連から莫大な援助で国民経済はゆっくりと回復に転じた」のであった。

「それからの数年間は共和国最後の黄金時代だった」。文革、反右派闘争は否定され、政府は社会主義経済体制にも調整が必要と認めるようになり、民主主義改革がはじまり、一定の私有経済が容認され、中ソ関係は蜜月時代を迎えた。

だが希望は長続きせず、キューバ危機を機に米ソ戦争に突入し、中国もまた朝鮮半島でアメリカ軍と直接戦火を交えることになる。その結果、経済は大打撃を被り、国民生活は崩壊の瀬戸際に立たされる。その時、政府への不満を募らせる人々の間から、「長らく禁忌扱いだった名前」が漏れ伝わりはじめる。?介石だった。

台湾海峡を西に渡った国民党軍は「アメリカ第7艦隊の支援を受けて広州に上陸」し、長江以南を制圧した。やがて「中華民国が中国全土の主権を回復したと、南京の?介石が宣言する」。首都は北京から南京に移り、共産党政権は北京を脱出し、逃走の果てに陝西省の山奥に逃れ、根拠地と定めた延安に逼塞することになる。

かくして国民党と共産党による内戦が全土で展開されることになるのだが、その時、「新たな強敵が登場した。日本で軍国主義者が政権につき、分裂した中国への侵略戦争をはじめたのだ」。日本がドイツの「ヒトラーという戦争マニア」と手を組むことで、「世界史上初めての世界戦争がはじまった」のである。

「冷戦は過去のもの」となり、「長年にわたって仇敵同士だった米ソ」は日独伊と対抗するために同盟を結ぶ。中国では民族存亡の危機を前に「国共は怨讐を越えて民族統一戦線を組み、ともに抗日戦争をはじめた。かくして歴史の新しいページが開かれることになる。

このような“逆さま現代史”を舞台に、時代の激流に翻弄される主人公の謝宝生と家族、それに幼なじみで恋人の琪琪や友人たちの哀しい人生が綴られる。

「金色昔日」・・・「昔日」は幻だからこそ、「金色」に耀いて見えるのだろうか。《QED》